休日あけの出勤。
売り場に向かうエレベーターに乗り込むと、
別のショップで働く店長が乗っていた。
軽く会釈をしたが、不機嫌さがおもいっきり顔に出ている。
何かあった事は明らかなのですが、
別に興味がないので聞かないようにしていた。
だが、アパレル販売員って奴は基本的に話好きな生き物である。
聞いてもいないのに、売り場に着くまで話を
聞くハメになった事は言うまでもない......。
渋々ながら店長の話を聞くと、
どうやら今日は休みだったにも関わらず出勤になったらしい。
店長『ウチのスタッフで甘い奴いるっしょ?』
あ、ちなみに甘い奴とは佐藤(砂糖)君
という頭のネジが全て飛んでいる22歳の男だ。
店長『アイツから朝一で電話があってさぁ、
しかも、アイツ何言ってるか全く分からないんだよね。
で、ムカついたから電話を切ったんだけど、
今度はメールがきたんだよね。それがコレ。』>
と言ってメールを見せてくれた。
佐藤『すいません。昨日呑みすぎてしまい
まして、今日出勤なんですけど
声が全く出ないので休ませて欲しいのですが。』
酷いヤツだ!という表情で
うんうん。と、うなずくワタクシ。
店長はお陰で10連勤だよ.....。とボソッと呟いた。
とりあえず同情するかのような表情で
うんうん。とうなずいておいた.....。
が、喋りだした店長は止まらない!
『アイツは普段からだらしない奴だ』とか
『言われた事しかやらない。』
だとか愚痴の嵐となってきた。
それでも、ワタクシは
おっしゃるとうりですね的な顔で
うんうん。と、うなずいた。
その内、店長が『あれ?今日はヤケに喋らないね。』
と、ワタクシの不信な態度に気づいた。
ワタクシはまたも喋らずに【風邪ひいた。】
みたいなジェスチャーを返し、最後に一回だけ咳をした。
すると、店長は『ふーん。お大事に。』
と、言いながら自分の店に消えていった。
..... .....実はワタクシも昨夜、甘い奴と一緒に呑んでいて
声がやづやの人みたいな声になっていた事はばれていない
はず.........。

その日は確かにお腹を空かしていた。
なぜなら【目覚まし時計】と呼ばれる鬼軍曹が
7時を告げたのにも関わらず
『あと5分だけ…..』
などと言い、鬼軍曹を黙らせてしまったからだ。
結果、当然のごとく朝メシ抜き、寝癖MAX、靴下左右色違い
という状況で家を出た。
『奇跡とは願うモンじゃねぇ。叶えるもんだ!』
などと、こんな状況で使う言葉ではないが奇跡は起きた。
なんと、いつもの電車に乗る事ができたのだ!
しかも、空席が多数あったので座る事もできた。
そこで、いつもの様に眠ろうかと思ったのですが、
空腹で眠れそうに無い…….。
と、そこへ後方車両からやって来た
お局さま的な匂いがする女性がワタクシの隣の席へ
腰を下ろした。
が、
ちょうどその時ありえないぐらい電車が揺れやがった。
人間、踏ん張るときは手を【ギュっ】と握りますよね?
体勢を崩したお局さまは倒れないように
踏ん張ったのでしょう……。
ギュッ! と、手を握った。
と、同時に
『ブブリョッ!』
という音がしたかと思うと
何故かワタクシは太ももに妙な冷たさを感じた。
パッと太ももを見ると、お局さまが手に持っていた
10秒メシとか言われている某ウィダーインゼリーの中身が
3分の1ぐらい乗っかっていた。
お局さまは『ごめんなさい。』と言いながらハンカチで
拭いてくれたのですが、半分以上はワタクシのパンツと太ももが
吸収してしまった。
それを見たお局さまはいかにも申し訳なさそうに
お局『ゴメンナサイ。クリーニング代出すわね。』
と、言うのでワタクシは
あくまでもなごませようとして
TAMA『ゼリーごちそうさまです。』
と、言ったら引きつった苦笑いをされました。
電車を下りるまで二人の間に変な空気が流れたのは
言うまでも無い…….。
